久しぶりの襖です。
定期的に襖成分が欲しくなりますね。
先日、京都に遊びに行ったのですが、夷川通りに中古の建具を売っているお店を見つけました。
素敵な襖があったので衝動買いしてしまい、新幹線に乗せて持ち帰ってしまいました。
ふーすまふーすま ふすまつくる
ぱたぱた ふすましめる
WHO SMART WHO SMART ふすまはがす
ふるびたの ふすまはがす
いーないーな それいいなー
びりびり それいいな
いーないーな それいいなー
表も下も剥く
ぺりぺりぺりぺりぺ
張替えタイプの建具だよ
ふすまを張り替えて見える世界も変わるかな
同じ部屋がどう見えるかは
表の模様次第だから
ひきてひきて ひきてはずす
かたかた ひきてはずす
Hike it Hike it ひきてはずす
かたいぃの ひきてはずす
さみしい形した小さな襖骨
下紙巻いて糊つけて 平らにかわるかな
ずっと前からある つけるタイプの下張りよ
引き手を付け替えて見える世界も変わるかな
同じ部屋がどう見えるかは
襖の見映え次第だから
わくをわくを わくをつける
かんかん わくをつける
Work-Work Work-Work わくをつける
かんかん わくをつけるの
ぴったりかんか おててのバール
かんかん わくをつけて
わくをわくを わくをつける
ながいぃの わくをつける
見本帳「銀河」より雲竜紙を4種類並べて使います。
トーンを抑えた色調での仄かなグラデーションが、落ち着いた中にも動きのある表情を演出します。
襖の開放の度合いによってその印象は幾重にも変化するでしょう。
通路側には白地に不均一な小豆色の縦縞の入った文華紙を用います。
重力に従って上から下へと落ちる平行線は床と垂直に交わり、奥へと向かう方向性を強く意識させます。
襖は元来、扉としての役割と壁としての役割を併存していますが、ここでは壁としての属性を強化し視線を通路の奥へと誘います。
通路の襖は部屋の内側においては、もはや通路としての意味を完全に消失します。
襖の本質はその二面性であるといっても過言ではないでしょう。
「錦2069」その細かな三角形が連続する幾何模様は薄氷に走る亀裂を連想させます。
虚(うつ)と現(うつつ)、夢と現実、部屋の外と内とを隔てる境界は、薄氷程の厚さでしかないという事を人は忘れてはならないのです。
襖を含むこの世のあらゆる事象は移ろいゆく儚い存在なのです…
さぁ皆さんお待ちかねの夏の連作第3弾です。
誰しも初心の内は(もちろん熟達の域に達してさえ)失敗を犯してしまうものです。だって人間だもの。
では襖張りにとっての失敗ってなんでしょうか?
それはなんといっても張り上がりの「皺」でしょう。
決して仕事でやっちゃいけない、恥ずべき失態です。
だが今回は逆転の発想をやってみた。
あえて皺る。
(クリックで拡大)
下地にくしゃくしゃに丸めた和紙を張ってその上に表紙を張ることで微細な皺と凹凸を、さらに位置合わせの段階で表紙を大きく捩る事で紙面を縦断する大きな皺を創る。ついでに通常は縁にしか塗らない濃糊を内部の何箇所かに塗って乾燥時の攣りで不規則な皺を演出します。
そこへ砂子を重ねてまたしても節操の無い感じに。
まだ色々と実験段階です。
古今の権力者達を魅了してやまなかった金属。
その妖しく蟲惑的な輝きに目が眩み、
以前から興味があった「砂子細工」というものに手を出してみました。
和紙にすり潰して粉状にしたり小さく正方形に切ったりした金箔を貼り付ける装飾技法です。
渋谷の画材屋「ウエマツ」さんがちょうどセール中だったので金箔や工具なんかを仕入れてきました。
金箔は金沢製と京都製があり、金沢製の方が少しだけお買い得です。
(実家が近いので個人的には金沢を応援してあげたい。)
セール中でお買い得だったとはいえ、流石はGold。
50枚セット重量1gで6300円でした…。
中世に錬金術師が大量発生したのも肯けるというものです。
さて、まずは金箔を茶漉しですり潰して細かい金粉にします。
一枚の金箔があっというまに消えてなくなっていく様がとても物悲しいです。
すごく悲しい気分になります。
紙にはあらかじめ礬水(ドーサ)液と呼ばれる膠と明礬の混合液を塗っておきます。
これが糊代わりになります。
明礬っていうと、あれですね。よく理科の実験で結晶の素材になる硫酸カリウムアルミニウムです。
糸で吊って正八面体にする以外の有効利用法を初めて知りました。
礬水液が乾かないうちに茶漉しから振り落とします。
乾くとくっつかなくなっちゃいますからね。
自然乾燥させて完成です。
真ん中の紐はメビウスの輪(のつもり)です。
細い帯状の部分を残して紙を切り抜き、右側の半分はクルッと裏返して張っています。
仕事中にハッと思いついて、これはイケる!と思ったものの実際やってみると…その…、う~n。
という感じだったので砂子の習作に切り替えました。
という事でなんか節操のない感じに…。
以上、夏の連作 Op. 2/4 「RP2 - B2 + ∂B2 」でした
先月、法事で実家に帰ったついでに襖を張り替えてきました。
印籠枠の板襖で横の枠はボンドでとめてありました。(張替えの事は考えてないのか…。)
仕方ないので横枠は付けたまま板戸方式で張り、枠に沿って切りました。
関東近郊では襖にそれほど多様性が無く、何パターンか覚えれば事は済みます。
しかし地方の襖がそうなのか、それとも富山の襖がそうなのか、恐ろしく種類が豊富です。
実家に帰るたびに親戚知人の襖を張替えていますが、
同じ様式の襖に出会った事がないという…。
といっても新作では無いので申し訳ないのですが。。。
3年前に張った友人宅の襖です。
自らの手で張った襖は自分の子供といったら過言ですが、気になるものです。
しかし襖の追跡調査をできる機会というのはなかなか無いもので、こういう時に友人宅ってのは便利ですねw
濃紺の襖紙だったので色落ちを懸念していたのですが思った程の劣化はなく、皺や弛みも出ていませんでした。
日照時間が少なく湿度の高い北陸地方なので紙にとっては良い環境という事もあるのでしょうか。
我が子供達は健やかに暮らしているようで安心しました。
それにしても、鮮やかな翡翠色の壁に加えて辺り一面、濃紺の襖。
こんな部屋で暮らしてみたいものです。
お金持ちの豪邸という設定なのに山水や景勝(一番安い紙)が張られていたり、貧しい家という設定なのに押し入れに美すずが使われていたりすると苦笑してしまいます。
そういった話で同業者と盛り上がる事もよくあります。
さて、昨日は久しぶりに夜更かしをして深夜にやっていたアニメを見たのです。
舞台は日本を牛耳る大富豪の広大な邸宅の最奥、奥の院と呼ばれる一角への入り口です。
ここは重要人物の住まいで、贅を尽くした四枚立ての三間襖で仕切られています。
恐らく日本中探しても最高ランクのしつらえの襖でしょう。
あろう事かその襖の向こうから警備の人間が襖を突き破って(いともたやすく穴を空けて)主人公達に襲いかかってきたのです。
そんな…馬鹿な…?
この襖、その重厚な見た目から言って下張りの回数は10回ではきかないでしょう。
骨に糊をじかにつけて直接紙を張る骨縛りに始まり、その上に透き止めのための打ち付けと呼ばれるべた張りを行い、次に何回かの簑張りを重ねます。その簑のような状態を押さえるための簑張り押さえをした後に下袋、上袋と何重にも袋張りをしてようやく上張りをするのです。
集合住宅の2回張りの簡易襖とはレベルが何段も違うのです。
そんなに簡単に破れるはずが無いだろう!!と少し憤りを感じてしまいした^^;
それを容易く破るくらいの手練れだと言ってしまえばそれだけの話ですが。。(フィクションですからね)