実は今回は書を書く人が2人います。
もう片方の方の作品が届きました。
万葉集と古今和歌集。
それぞれ3枚づつで六曲屏風を作ります。
さて、もしかすると誰かの役に立つかもしれないので、ここで裏打方法を簡単に記しておきます。
(ただし多分に我流な方法であるので注意。)
屏風仕立ての裏打は鳥の子で行ってしまいます。(巻く必要がなく薄くする必要がないので)
まず台の上に本紙を寝かせる養生紙を敷きます。養生紙には障子紙を使いました。濡らすと透き通って、毛羽立たない機械漉きの障子紙(ブラックレス等)が良いと思われます。
台の上に寝かせた障子紙は水刷毛で全体を均一に濡らします。ただし濡らしすぎない事がポイントです。刷毛では少しかすれるくらいに水を塗って水分が足りない部分には霧吹きで水を足すといいでしょう。濡らしたら刷毛で空気を抜いて皺を伸ばし、台に密着させます。
その上に本紙を寝かせ霧吹きで水をかけ、刷毛でなでつけて伸ばします。このとき刷毛を斜め方向に動かしてはいけません。必ず縦横どちらかの方向に動かしましょう。とにかく皺を作らないように細心の注意を払います。
本紙の皺を伸ばしたら、裏打紙に糊を塗ります。ただし糊を塗る面の裏側に霧吹きで水を含ませて多少伸ばしておいた方がよいでしょう。糊を塗ると紙が伸びます、片面だけが伸びた状態だと裏表のバランスが悪くなって皺ができるからです。
糊は襖を張るときに使う淵糊を4倍程度に薄めます。濃さの目安としては、糊を親指と人差し指でつまんでも最初は粘りを感じず、5回ほど指を離したりくっつけたりして、だんだん糊が乾いてきて乾ききる直前にようやく粘りを感じるくらいがよでしょう。糊は裏打紙全面に均一に塗ります。
塗りおえたら本紙の上にゆっくりと寝かせます。一度本紙に付いた部分を剥がして置き直そうとすると本紙が一緒にくっついてくる事があるのでやめましょう。大きな作品になると一度で正確に位置合わせをするのは難しくなってくるので、予め裏打紙の短い方の一辺を台に糊かテープで貼って固定しておくとよいでしょう。その離れない一辺の向かい側を持って反対側にまわり、軽く引っぱって紙をピンと伸ばした状態でゆっくりと下に下ろすとよい感じでした。
次は、水刷毛で全面に水を塗るつもりで皺を伸ばして本紙と鳥の子を密着させていきます。この時も斜めには刷毛を動かさない。また最初の内は縦(長い方向)にもあまり動かさない方がよいです。皺を伸ばすのはあくまで横(短い方向)に撫でる事で行います。
裏打が終わったら裏打紙の裏の周囲に糊(濃い糊)を塗り、養生紙ごと持ち上げて板に張り付けます。板戸やベニヤ板などで代用できるでしょう。まず上辺を固定し養生紙の上から撫刷毛で中から外に向かって撫でて空気を抜きながら張り付けます。またこのとき養生紙から本紙が透けて見えるので裏打の修正が必要な部分があるなら刷毛で撫でるなり打ち付けるなりして修正しましょう。
しっかりと張り付けたら養生紙を剥がして最低一晩乾燥させます。
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